新規立上げ塾で講師のバイトをしていた話。【経営者によっては極悪ブラック。教育ビジネスの矛盾】
「学生時代に頑張ったことはアルバイトですぅぅー」って言う就活生多いよね。
私がそうでした。大学の勉強は典型的な私立文系だったので申し訳程度。留年しない程度に。資格試験も簿記に受からず、誰でも取れるものを思い付きで受験。一人暮らしだったけど自炊も適当。1、2年生の頃は炊飯器すら持ってなかった。気力がないので遊びすぎたりはしないけど、時間を持て余し、ダラダラダラダラ。
役満だね!!!真面目系クズ!!
そういう、真面目系クズが唯一ちゃんと取り組んだものがバイトです。4年間で400万円の学費払って、頑張ったことバイトだからね。なんたる親不孝。
フランチャイズの個別指導塾のスタートメンバーでした。
のれん分けみたいな形で独立した塾長のもと、ビルの一室にある塾で働いていました。
塾長は起業意識が高いところがあって、塾の仕事の傍ら、地域の経営者と会って飲みに行ったり、飲食店の開業と経営に参加したり、と教育業以外も手広くやっていました。
・・・・・いえ、本業そっちのけでやっていましたね。
猛烈に働く塾長。
塾長は最初の頃は塾に泊まり込む勢いで、猛烈に仕事に取り組まれていました。
生徒の月々の料金プランや学習コース、英語検定や漢字検定、定期試験の対策準備や、受験生への個別の学習スケジュール編成。保護者への定期連絡や報告・面談。朝の中学校前でのチラシ配りや、地域の住宅へのポスティング。保護者や塾の近隣からの苦情対応など、学習塾を運営していくうえで行わなければならないことは多々あります。
ただ教えればいいのはバイトだけなんです。
これらのことを塾長は最初の頃はほぼ一人で行っていました。
塾に来ない塾長とだんだん黒くなるバイト先。
ただ、塾に採用した社員の方が常駐するようになり、塾の業務が軌道に乗ってくると次第に塾長は塾に顔を出さなくなりました。新規入塾希望者の保護者面談など、売り上げに直結するようなここぞという時にしか来ません。バイトの私ですら、数か月に一度会うかどうか、という頻度でした。
社員の方が集まって行う会議などには来られているようでしたが、私はバイトだったので不参加。
会議では売上や新規の生徒の獲得、受験生の成績の状況、料金プランなどについて話していたそうです。
数字ばっかりですね。社員さんは生徒に教える業務を行いながら、数字も上げなくてはならず、とても大変そうでした。しかも、塾長は塾にめったに来ないので、塾の責任者代行としての仕事もありました。
立ち上げたばかりの店や塾などにはありがちですが、我がバイト先も「残業代」「休日出勤手当」などというものは存在せず、タイムカードも各自がボールペンで手書きしていました。なんのためのタイムカードだよ。途中までは社会保険も未適用でした。社員さんにとってはただのブラックな職場になっていたと思います。
教育ビジネスの矛盾。
生徒たちは生意気ざかりだったけどすごく可愛かったし、社員には絶対になりたくありませんでしたがバイト先としては悪くありませんでした。シフトの融通がとても効きやすかったんですよ(バイトだけ)。これはありがたかった。
自分が受験生だった頃に、必死で詰め込んだ知識をそのまま活かせるのも単純に嬉しかったです。
でも、就職活動を始める前から私は「教育ビジネス業界には絶対進まない」と決めていました。
少子化で先が厳しいだとか、ブラック企業が少なくないとか、理由はいろいろありますが、一番大きかったのが、バイト先で見聞きした「数字(売上や生徒獲得)と教育」の矛盾が自分の中で解決できなかったからです。
商売だからお金を儲けないと続けられないというのは分かります。でも、教育そのものよりも、経営に興味を強く持ち、ろくに塾にいなかった塾長のことを考えると「教育ビジネスってなんなんだろう.....」という思いが拭えませんでした。
大げさかもしれませんが、生徒たちにとって塾や予備校は家庭、学校に続く第三の居場所であり、人間関係の広がる場であり、進路にも大きな影響を及ぼすわけで。
大学卒業を期にバイトは辞めたのですが、あの塾は今どうなっているんだろう?と思い、書いてみました。