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建築と書評と職業訓練のブログ。二級建築士の勉強してます。

歪んだ職場の作り方【超身分社会だった前の会社の話】

 

年末に向けて仕事が忙しくなってきました。

最近、労働関連のニュースを見て、前の職場での人間関係や人事制度について思い出したことと、思うことがあったので書いていきます。

やたらと雇用形態の多い会社

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以前勤めていた会社は、雇用形態がなぜかやたらと多かった。箇条書きにするとこうなります。

  • 正社員→大学新卒や中途採用で入ってくる人。全国転勤有。昇進有。
  • 準社員→5年契約の有期雇用。大学新卒や中途採用で入ってくる人。転居を伴う異動はなし。ボーナス無し。昇進無し。
  • 契約社員→1年契約の有期雇用。ほとんどの人が中途採用。まれに新卒も。異動は全く無し。ボーナスも無し。昇進なし。
  • 派遣社員→管理職が派遣を希望した部署にのみ送られる。繁忙期限定。
  • パート→半年契約。裏方の単純作業がメインの仕事。地域のお母さんたち。転勤、異動、ボーナス、昇進全部無し。何年も契約更新している人が多い。
  • アルバイト→いるところとそうでないところがありました。私がいた職場にはいませんでした。待遇は勤務先により異なり、大抵はパートに準拠。

勤務拠点によってはいずれかの雇用形態の人がいなかったりするところもあったんですが、ほとんどの拠点がこの6つの身分の人が混じって働いていました。

割合としては正社員と準社員を合わせて3割くらい、ほか全部で7割って感じでした。私は新卒で正社員として入社しました。建前上は大学新卒正社員は幹部候補生です。

勘の効く人はここまでの説明で既に嫌な予感がしているかもしれません。

職場はギスギスしていました。あの人とあの人は口を利かない、とか冗談みたいなことが普通にありました。私は働き始めてしばらくしてから疑問を感じました。

「こんなにギスギスするのは皆の雇用形態が違うせいもあるんじゃ......?」

「なんでこんなに雇用の種類が多いんだろう?無駄じゃないのか?」

なんで準社員の人は若手の正社員にキツイんだ?(これは同期との飲み会でのあるあるネタでした。やけにキツイ人が多かった)」

ノルマ達成のための苦肉の策

この会社の雇用形態がバリエーションに富んでしまった経緯について説明します。昔は正社員とパートとアルバイトの3つだけでした。

前職は不人気業界でした。昔から就活生には嫌厭されてきたようで売り手市場の時期は人事部の採用グループは採用人数のノルマについて、上層部から厳しいプレッシャーがかけられるそうです。バブルの頃はめちゃくちゃだったそうです。風の噂でいろんな話を聞きました。不人気業種の採用担当は本当に大変だと思います。家に帰れないそうですよ。

現場は人手不足、上からはノルマ厳守のプレッシャー。

そんな状況で苦肉の策で作られたのが上記の準社員契約社員制度です。これは推測ですが、きっと採用の責任者は人が集まらないのは全国転勤がネックになっている、と考えたのでしょう。1年間と5年間の長期契約で、転居を伴う異動・転勤はなく、正社員の内部登用試験制度もある、というふれ込みで準社員契約社員制度は始まったそうです。

ところが、制度発足後しばらくしてリーマンショックが起きてしまいました。大不況です。人気業界が新卒採用の定員を絞ります。そうすると不人気業界にまで、有名大学の学生が流れてきます。必死で求職者をかき集めていたのが、選抜に変わりました。正社員は採用人数を満たせるようになりました。

見切り発車で発足した制度で職場がギスギスに

新卒で正社員が確保できました。さらに会社の業績が伸びなくなったため人件費をなんとか抑えようとしています。そのため内部登用試験はほとんどの人が合格できないものになってしまいました。全国で数人、といったところです。毎年受験者は1000人以上いるのに。まともに採る気がないのが見え見えです。

特に準社員の人の中には、正社員になることを最初から目標にして入社してきた人も多く、そのうちの大多数が毎年登用試験を受け、毎年落ちていました。

準社員の人が若手の正社員にきつく当たるのも分かります。新卒カードと若さだけを武器に、仕事ができないくせに、自分が何度挑戦しても手に入らないものを最初から持っています。新卒の教育係を任されている人もいました。これは上司の配慮がなさすぎると思います。仕事は大事ですが、それと同じくらい自尊心は尊重すべきです。

制度発足当初、内部登用試験の合格率は6~7割くらいが目安である、と会社が広報してしまっていたこともあって、会社をよく思わないというか、恨み節の人もいました。福利厚生制度を限界まで使ってやる!って姿勢の人もいました。

もし私が同じ立場だったら.......と思うとその方達には何も言えませんでした。現場の管理職も遠慮して遅刻しても見なかったことにしたりと序列が崩壊気味でした。

会社の言うことを鵜呑みにしてはいけない

前職で私が最も強烈に学んだことは「会社の言うことを鵜呑みにしてはいけない」ということです。会社のほうも、最初から騙すような気で始めた制度でないことは分かります。しかし、業績のためなら一度言ったことを平気で反故にする冷酷さがあります。

今でも会社に残っている同期に聞いたのですが、会社は準社員契約社員制度の廃止を検討中だそうです。減った人員は派遣社員で補てんし、登用試験をなくす代わりに会社の中核を担う大学新卒正社員を増やす方向なんだとか。

自らが所属する集団に貢献する、という姿勢は必要ですが、全幅の信頼は決して置いてはいけないなと思っています。