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【書評】ネットの高校、はじめました。新設校「N高」の教育革命

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ネットでは嘲笑の嵐で痛いものを見るような目に晒されていた、VR入学式やドラクエネット遠足、アニソンのような校歌。アニメのような制服。
奇抜なイベントのイメージ強い角川ドワンゴが作った、通信制高校のN高校。
実際のところはどうなのかが知りたくてN高の取材本を読みました。今日はその内容の紹介と感想を書きます。

この本はKADOKAWAから出版されています。従って、基本的に「N高ってなんて素晴らしいのだろう!」という姿勢で取材がまとめられています。そのことを踏まえたうえでいろいろ考えていきます。

通信制高校とはなんなのか

まず、N高が該当する通信制という種類の高校のできた経緯と現在の状況についてです。
昔は経済的な理由で全日制高校に進学することができなかった社会人、勤労学生が主な生徒でした。働きながら通うのが前提だったんですね。
それがすこしづつその割合が減っていき、現在では過半数の生徒は中学を不登校の状態で卒業した人です。

言い方が悪いですが世間では「訳アリの子が行く学校」の印象が強いです。

そして通信制高校の中にも2つの種類があります。「狭域」と「広域」です。広域の場合は高校の所在地以外の都道府県に住む人も入学することができます。
狭域の通信制高校は公立の各都道府県にある高校が多いです。基本的にはその県内に住んでいないと入学することができません。
N高の本校は沖縄の伊計島にありますが、全国の人が入学できるのは広域だからです。

通常授業はあくまでも学校指導要領準拠

ぶっ飛んだイメージが強いN高ですが、高校卒業資格を得るための通信授業とレポート、スクーリングについては割と普通。

卒業証書をもらうためにはあくまでも学習指導要領に従ったカリキュラムを消化していく必要があります。

高校としての認可を取るためには映像授業は早送りできないものか、などが指導が入るそうです。
授業やレポートの進捗状況については担当教員から電話連絡などで定期的にフォローが入るそうです。
通信にしては手厚い管理ですね。
まあ一期生の3年後の卒業と進路実績は今後の学校運営にかなり響いてくるでしょうから、力を入れているんでしょうね。

特徴があるのは課外授業

通常授業は割と普通ですが、課外授業では他の通信制高校にはない特色があります。
ネットで受けられるものだけでも「大学受験対策授業」「プログラミング授業」「文芸小説創作授業」「ライトノベル作家授業」「コミック作家授業」「イラストレーター授業」「ファッション講座」「ヘアメイク講座」「パティシエ講座」「デザイン講座」などがあるそうです。
より本格的に、将来の職業として考えている人向けに通学コースもされており、プログラミング、予備校提携の大学受験コース、専門学校提携の講座などがあるとのことです。
そのほかにも職業体験のプログラムがあり、全国の自治体と組んだ特別授業を受けられるようです。

.......これだけの教育の機会があるなんて単純にうらやましいです。こんだけあれば好きなものが一つくらいは見つけられそう。

ただ、現状では全く課外授業を受けていない生徒が半分以上なんだそうです。

なんともったいない。せっかくのチャンスなのに。
でも、レポートを書いたり先生と電話やメールでやり取りしたりするだけでもいっぱいいっぱいの子もいるだろうからなあ。エネルギー量や好奇心は人それぞれだし。
自分で選択して行動することができる人にとっては3年間で普通の全日制高校に進むよりも多くのことを学べる環境だと思います。

 感想まとめ

  • 課外授業が異常に充実していてうらやましい。

自分で学ぶことや身に付けたいスキルを考えて、選択して、学習を進められる人にとってはこれ以上ない環境かもしれない。
3年間の間に進むべき道を決めて、普通高校の勉強もしつつ、専門教育も受けられたら、その後の人生に活きる大きな財産になると思う。
ただ、結局東京にある提携先の学校に通えないと受けられないコースも結構あるようで。通信制でも越えられない距離の問題はあると思う。

  • 通信の学校の三大課題、自己管理・昼夜逆転・運動不足

これについては今後も課題が残る気がする。自己管理なんて大人でも難しいのに。
ついつい課題が溜まってしまい、ズルズルと学生を続けてしまう....という人はけっこういるはず。
そもそも自己管理ができない人は通信制に行ってはいけないんだと思うのだけれども、学習に問題を抱えた人が集まりやすいのも通信制

  • 履歴書に「N高等学校」と書くことの影響。

目立ちますよね。良くも悪くも。
そんなことを気にする会社や職種には就かなきゃいいだけ!と言い切ることは難しいだろう。
角川ドワンゴに優先的に入社できるわけでもないだろうし。
卒業後の人生のほうがはるかに長いのだし、地方に住んでいて、地元で生きていくつもりの人の場合は出身高校は何かと関係してくる。
こういった田舎特有の文化が嫌なら進学するか、スキルを得て就職するのがてっとり早いと思う。

  • 一期生は採算度外視?

公式ホームページや他の私立の通信制高校のサイトなどを見て調べてみたのですが、N高の学費は安いほうに入ります。
有名講師をそろえた課外授業や職業体験のことを考えると採算は度外視やっているのかな......?と思いました。
収支を考えるとそんなにおいしいビジネスとも思えません。
やはり、一期生の3年間でのストレート卒業率や進学先や就職先の実績がかなり重要になってくるので、しばらくは採算度外視で注力するのかな、と読んだ範囲では感じました。
一期生がコケたら保護者の支持は得られないですからね。親が一番期待するのは子供が無事に卒業証書をゲットしてどこかに就職・進学することですから。

いろいろ書きましたが、こういう高校があることで救われる人は絶対いるはず。もし身近な人がこういった学校に入ることを希望したら応援してあげたいなあと思います。

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